中東情勢の影響により、原材料の入手が難しくなったり、資材価格が大きく上昇したりすることで、工事が止まってしまう可能性があります。
建設業・工務店・土木業では、材料が入らなければ現場を進められません。現場が止まれば、売上計上が遅れます。入金も遅れます。一方で、人件費、外注費、借入返済などの支払いは続きます。
このような状況で、従業員を休ませざるを得ない、教育訓練に切り替えざるを得ない、という場合には、雇用調整助成金の活用を検討することは選択肢になります。
制度は全国共通ですが、周知は各地の労働局・商工会議所・商工会などが個別のペースで進めている状況です。コロナ禍のような一斉・大規模な特例告知とは性格が異なり、現時点では少しずつ広がっている段階と見受けられます。
参考: 厚生労働省「中東情勢関連ページ」 / J-Net21「中東情勢緊迫化に関する支援情報」 / 中小企業庁「中東情勢等を踏まえた支援」
注意点——コロナ禍の時とは、条件が異なります
雇用調整助成金は、コロナ禍の時に多くの会社が利用しました。そのため、「休業手当を払えば、かなり手厚く国が補填してくれる」という印象を持っている経営者の方も多いと思います。
コロナ禍の特例と現在の通常制度の違い
| 比較項目 | コロナ禍の雇用調整助成金 | 現在の通常制度 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 新型コロナ対応の特例措置 | 通常の雇用調整助成金 |
| 生産指標要件 | 最近1か月の売上高・生産量等が前年同月比10%以上減少(時期により5%以上でも可) | 最近3か月間の月平均値が前年同期比10%以上減少 |
| 中小企業の助成率 | 時期・条件により4/5、9/10、最大10/10の時期あり | 原則 2/3 |
| 大企業の助成率 | 時期・条件により2/3、3/4、最大10/10の時期あり | 原則 1/2 |
| 1人1日あたり上限 | 時期により9,000円、12,000円、15,000円等の時期あり | 8,870円を上限とする基準あり ※毎年8月1日に改定 |
| 支給限度日数 | 緊急対応期間中は通常の支給限度日数とは別枠 | 1年で最大100日分、3年で最大150日分 |
| 計画届 | 緊急対応期間・経過措置期間は不要 | 通常制度の手続きに従う (休業開始の前日までに提出が必要) |
※上記は厚生労働省の雇用調整助成金ページおよび新型コロナ特例ページをもとに、経営者向けに要点を整理したものです。実際の申請可否は、管轄の労働局・ハローワーク等にご確認ください。(参考:厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナ特例)」)
建設業・工務店で確認したいこと
雇用調整助成金を検討する場合でも、まず確認すべきなのは自社の数字です。助成金が「使えるかどうか」より先に、会社の資金繰りがどうなっているかを整理する必要があります。
- 材料が入らず、工事が止まる可能性があるか
- 工事の遅れにより、売上計上や入金がどの月にずれるか
- 材料費、外注費、燃料費、物流費がどの程度上昇しているか
- 粗利がどれくらい削られているか
- 従業員を休ませる必要があるか。あるいは、工事が止まっている時間を使って安全講習・技術研修などの教育訓練に充てられるか(休業・教育訓練のどちらも助成対象になります)
- 雇用調整助成金の要件を満たす可能性があるか
- 助成金が入るまでの資金繰りをどうつなぐか
- 銀行にどのような説明をする必要があるか
特に建設業では、資材価格の上昇や納期遅れの影響が、すぐに試算表に表れるとは限りません。未成工事・材料費・外注費・入金予定・借入返済が複雑に絡むため、数か月後になってから資金繰りの苦しさとして表面化することがあります。
ただし、助成金だけで資金繰り全体が解決するわけではありません。
必要なのは、助成金・借入・銀行説明・支払予定・入金予定をバラバラに見るのではなく、会社全体の資金繰りとしてつなげて確認することです。
Properlyにできること
合同会社Properlyでは、建設業・中小企業向けに、資金繰り表の作成、今後の不足時期の確認、銀行説明資料の整理を支援しています。
中東情勢や原材料高騰の影響が気になる場合は、まず「自社の数字にどの程度影響が出ているのか」を一緒に確認するところから始められます。
関連ページ
中東情勢・ナフサショックへの対応情報、資金繰り管理サービスの詳細をまとめています。
ページを見る →前受金構造の危険性と、今すぐやるべき3つのこと。
中東情勢・原材料高騰で資金繰りが悪化した建設・土木業者向け。
公開:2026年6月14日