建設業の決算は、単純な黒字・赤字だけで銀行に判断されるわけではありません。銀行が見ているのは「その数字が本当に回収できるか」「今期の資金繰りに影響しないか」「担当者が行内で説明できるか」——この3点です。

このページでは、建設業専門の記帳代行・銀行対応サポートを行う私が、実務で感じている「銀行が建設業決算のどこを見るか」を整理します。

1. 銀行がまず確認する:債務超過かどうか

赤字よりも先に見られるのが債務超過かどうかです。赤字が続いていても純資産がプラスであれば、銀行は一定の猶予を持って話を聞きます。しかし債務超過に転落した場合、融資継続・新規融資の難易度は一段上がります。

実務上の目安
1期の赤字で債務超過になるほど大きな損失でなければ、説明次第で挽回できます。問題になるのは「赤字の理由が説明できない」「今期の見通しを示せない」ケースです。

2. 最重要:完成工事未収入金

建設業の決算で銀行が最も念入りに確認する項目です。

完成工事未収入金は、決算上の見え方に影響しやすい項目です。金融機関もその点をよく理解しているため、決算日後の通帳の写しを求め、具体的な入金日の説明を細かく確認してくることがあります。

「決算の締め日以降、実際にいつ入金されたか」を確認することで、その売掛金が本当に回収できているのかを銀行は判断します。残高の大きい案件については、入金予定日・入金実績・入金先(施主・元請け)を整理しておくことが重要です。

銀行への説明で準備すべきこと

3. 建設業特有:未成工事支出金

未成工事支出金は建設業特有の項目で、完成工事未収入金と並んで銀行が注目します。ただし、確認の深さは金融機関の種類や取引状況によって異なります。

私の実務上の感触(あくまで個人的な印象として)

メイン行:残高維持・工事見合融資の継続が中心の取引であれば、未成工事支出金の中身まで毎回深く確認されるとは限りません。通帳では「完成したかどうか」を単純に確認できないことも、深堀りしない理由の一つだと思います。

新規融資・公庫・サブ行以下:未成工事支出金の内訳・工事進捗・完成見込み・売上計上予定について、かなり明快な説明を求められることがあります。特に公庫はこの傾向が強い印象です。

銀行への説明で準備すべきこと

4. 不自然な固定資産の取得がないか

決算期に突然増えた固定資産は、2つの視点で見られます。

実在するのか?決算の赤字隠しに使われていないか。
② 「事業に必要な設備投資か」「資金の使途と整合しているか」。

取得した場合は、購入の理由・用途・取得金額の根拠を説明できるようにしておきましょう。請求書・領収書・売買契約書なども手元に準備しておくと安心です。

5. 赤字決算ならどうするか

銀行は赤字そのものよりも、「その赤字を説明できるか」と「今期で戻せる根拠があるか」を見ています。

赤字でも挽回できる条件 ① 赤字の理由が明確に説明できる(例:期ずれ・一過性の工事原価増・不採算案件の損失処理)
② 今期の受注予定・見込み案件が示せる
③ 12ヶ月の資金繰り表と今期黒字化計画を添えられる

この3つが揃うと、銀行の担当者は行内(上席・審査部)に説明しやすくなります。担当者を説得するのではなく、担当者が社内で戦える資料を渡す——という発想が大切です。

赤字の種類で説明が変わる

期ずれ型:完成工事の売上計上が翌期にずれ込んだ。翌期に入金・売上計上できることを資料で示す。

一過性型:不採算案件の損失処理・突発的な工事原価増。今期以降は発生しない理由を説明する。

構造的赤字:粗利率が下がっている・固定費が重い。この場合は黒字化計画の根拠が問われる。最も説明が難しい。

6. 担当者が行内で戦える資料とは

建設業の銀行対応で私が最も重視するのは、「担当者が審査部・上席に説明できる形に整えること」です。

担当者は社長の話を聞いて、それを行内で承認を取る立場にいます。どれだけ社長が口頭で説明しても、数字と資料が揃っていなければ担当者は動けません。

銀行対応資料の基本セット(建設業の赤字決算版) ① 完成工事未収入金の一覧(入金実績・予定含む)
② 未成工事支出金の工事別内訳と完成見込み
③ 12ヶ月資金繰り表(楽観・通常・悲観の3シナリオ)
④ 今期計画(黒字化の根拠・受注予定)
⑤ 赤字の理由と一過性であることの説明

「数字がある。だから、話しができるんだな」——ある工務店社長が、融資が通った後に言った言葉です。数字が整っていると、担当者は動きやすくなります。

こう思った方へ

「そんな資料、一人じゃとても作れない」
「税理士はここまでしてくれない」

これらは私のサービスに標準で含まれています。完成工事未収入金の整理から銀行対応資料の作成まで、月次の関わりの中で一緒に進めます。「資料を作ってください」——そんなことを言わなくても私は準備を進めます。社長は説明を聞いて、銀行に電話するだけ。それが私のサービスの強みの一つです。

合同会社Properly 相談風景

合同会社Properly 代表 佐藤 崇

大手税理士事務所に10年勤務後、東証一部上場の投資会社で事業再生の財務担当者として建設業・土木業を含む複数の中小企業に内側から入りました。建設業専門の記帳代行・月次報告・銀行資料の作成まで一貫して対応しています。

赤字決算でも、説明の仕方で金融機関の受け止め方は変わります。

完成工事未収入金・未成工事支出金・今期資金繰り表まで整理して、銀行に説明できる形にしたい方は、一度ご相談ください。

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